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応用例 物語朗読 『兎と亀』

むかしむかしのお話です。ある日、亀が川で水をチロチロ飲んでいる時、隣で兎が亀に向かって、「君は何をするにものろいなぁ」と言いました。それを聞いた亀は、ゆっくりと顔を上げて、「そんなことないよ」と答えました。そうしたら、兎が「ほう、のろくないというのかい。それなら、明日丘の上までかけっこして、どっちが速いか勝負しようよ」と言って、亀の返事を待たずに行ってしまいました。

次の日、多くの観客に見守られて、レースが始まりました。スタートしてから兎は野を超え、川を超え、あっという間に丘にたどり着くまでの一本道にやってきました。兎は後ろを見ましたが、跳んでも亀の姿はまったく見えません。「亀はまだ来ないから、少し休むとするか」と兎はそばにあった木に寄りかかり、休み始めました。が、うとうとしている間に、本当に眠ってしまいました。その頃、亀は野を一歩一歩進み、川をゆっくり泳いで、少しずつ丘へと向かっていました。やっとのことで一本道までやって来ると、そばにあった木で兎が大いびきをかいているのを見ました。「おや、兎さん、お先に失礼します。」小さい声でそう言って、亀はまた少しずつ丘へと登って行きました。

いよいよ亀がゴールテープを切ろうとした時、兎がはたと起き上がり、ゴールへ向かって突進してきましたが、時はすでに遅し、亀はもうゴールテープを切っていました。

観客は最後まで諦めずに頑張った亀を祝ったとさ。おしまい。